人生後半戦の新おとな学入門

50代60代のためのニューシニア講座 働き方・暮らし方・生き方・学び方・遊び方


「新おとな学入門」は「新おとな学Ver.2」として新しくなりました。
新しいURLは https://www.snias.com です。
よろしくお願いいたします。


定年制度と終身雇用制度は日本における経営制度の特徴であるとよく言われます。現在働いている人が初めて働くころにはこの制度はすでに存在していたと思います。すでにあった制度ですので、なんの疑いもなく自分にも適用されると考えていたのではないでしょうか。ところが・・・



労働力の確保のためにできた終身雇用


終身雇用と生涯雇用

終身雇用は定年までの雇用であり、生涯にわたって雇用するということではありません。できるだけ長く雇用することで労働力を維持するために整えられた制度です。その歴史は明治時代、大正時代、昭和時代初期に渡って長期雇用慣行として続けられてきました。

参考:終身雇用(Wikipedia)

定年と定年制度

長期にわたって雇用することが目的でも、生涯にわたって雇用することは現実的ではありません。そこで設けられたのが雇用関係を維持する期限を定年(停年)として設けたのです。組織に入ったその日から定年まで雇用関係が発生することを、法律に基づいて書面で約束するようになり現在まで続いています。

参考:定年(Wikipedia)


定年退職と退職金

定年制度には2つのトピックがあります。定年年齢と定年退職金です。定年年齢は能力を発揮できる期間に応じて決められるべきですが、平等主義の下で一律の年齢に定められています。定年退職金は長期雇用を行うためのインセンティブとして年功序列賃金と併せて考えられました。

参考:統計でみる退職金・企業年金の実態 2017年版(りそな銀行)

公的年金制度との比較

年金制度の考え方自体は第二次世界大戦以前にもありましたが、現在のような年金制度が作られたのは戦後の国民年金制度が整えられた1959年以降になります。高度経済成長と並行して労働力の確保と労働者保護のために整備されてきました。人的労働力が豊富で、人口ピラミッドが形成されていた時代の話です。




労働力人口の減少は定年の延長でカバーできるのか?


出生率の減少

日本の人口構成については前回の記事で取り上げました。1971年から1974年の第2次ベビーブームを境に出生率は年々減少しています。第2次ベビーブームの頃は200万人だった出生数も現在では100万人を切っています。出生数が減少していた頃から労働力の不足が懸念されていました。

出生数

定年年齢の引き上げ

第2次ベビーブームの頃の定年年齢は55歳でした。その20年後の1990年には定年年齢は60歳に引き上げられています。定年年齢が引き上げられたのは、健康状態が良くなり平均寿命が延びたことや年金制度の見直した結果だと言われています。定年年齢が延びれば労働力も増えるわけですが、バブル景気の最中では大勢に影響がないと判断されたのでしょう。
  • 定年年齢 1970年 55歳 1990年 60歳 2015年 65歳
  • 平均寿命 1970年 70歳 1990年 76歳 2015年 80歳
  • 余生期間 1970年 15年 1990年 16年 2015年 15年

労働力と求められる能力

第二次世界大戦以降の労働力の推移は、機械操作を含む人的労働力から機械による自動化へと変わりました。労働力も機械操作から自動化の管理へと変わり、求められる職能も操作能力よりも管理能力が必要になりました。その後はコンピュータ化による自動管理となり、求められる能力もIT知識に基づいた能力へと変わりました。

労働力人口

余剰労働力とサービス業

安定した労働力の確保を目的とした終身雇用制度と定年制度は、求められる能力によっては余剰労働力を生むことになりました。余剰労働力に対応するために人的作業を中心とする新たな業種も増えてきました。人的労働力が求められるサービス業です。近年ではこのようなサービス業も自動化される一方で、自動化できないサービス業は労働力不足となっています。




定年後の労働力を活かすには何が必要か


定年後の労働力

これから数年間にわたって求められる定年後の労働力は、「自動化できないサービス業」か「コンピュータ操作ができる能力」のどちらかになるでしょう。AIやロボットなどと競合しない労働力として働くことになります。このような労働力は定年後に限らずすべての年齢が対象になりますので、定年後という優位性はありません。

キャリアとスキル

定年後は今まで培ったキャリア(経験)とスキル(技能)を活かしたいと考えても、過去のキャリアとスキルが役立つ業種や職種でなければ活かすことはできません。将来にわたってキャリアとスキルを活かすことができる業種や職種は限られているのです。定年後に必要な能力は「新しいことを学ぶ力」であり、時間をかけずに即戦力となることです。

参考:電通総研、「シニア×働く」調査を実施

定年退職者の雇用

定年退職者が人的労働力に対応するためには、立ち仕事ができような体力と足腰が丈夫であること、目や耳が衰えていないこと、また記憶力や計算力が要求されることもあります。定年退職者を雇用する側もこのような能力差を補うような配慮が必要です。基本的な能力には差はあるものですが、加齢による差は克服しなければなりません

定年退職後の起業

働き方には賃金労働だけでなく、起業という働き方もあります。この場合の起業とは「自分で事業を考え自分で事業を行う」ということです。定年後ではなく定年前から準備をするに越したことはありませんが、起業後10年間に廃業するのは9割以上に上っています。自分の好きなこと、得意なことだけでは起業しても長続きしないということでしょう。




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定年後の働き方を考えるには、定年になったら退職ではなく転職するという考え方の方が適しています。また転職の際はキャリアアップだけではなくキャリアダウンも考えなければなりません。定年までに何度か転職を経験している人と転職を1度も経験していない人では退職に対する考え方が異なります。

転職を経験した人であれば、転職の準備から転職後のキャリアとスキルの活かし方についても自分の考え方を持つことができます。転職を経験したことがない人は、これらの準備と考え方を不安と捉えてしまいがちです。特に定年退職者が多い時代ですので不安を煽ることを商売のネタにしている業者もいます。くれぐれも注意しましょう。

定年までは組織が働き方の面倒を見てくれていましたが、定年後は自分で自分の働き方の面倒を見なければなりません。働き方に対する自己管理能力が問われるのです。組織が作ったルールを守るという自己管理能力ではなく、自分で自分の働き方のルールを作るという自己管理能力です。

すぐれた自己管理能力こそプロフェッショナルとして定年のない働き方ができる鉄則なのです。





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